いやな、夢を見た。
寝る前に読んでいた本が多少影響したのか、
それは異世界トリップの話で。
元の世界から持ってきた、携帯電話を媒体にして異世界と元の世界を行き来していた。
行き来といっても、最初のほうは、なかなか元の世界とのつながりもなく、
危険な異世界でずっと生きていて。
自分も世界になじんで、たくさんの人に大切にされ、愛する人もできた。
なのにいきなり繋がらなかった携帯から電話がかかってきて、
自分は元の世界に戻される。
元の世界では、少し成長した友人たちが、泣きながら「心配した」と言う。
しかし、しばらくするとまた異世界に戻る。
優しくて強い、自分の愛する人が抱きしめてくる。
どちらの世界を選ぶべきか、考えもしないまま、月日が経つ。
携帯は頻繁に掛ってきて、自分は「また明日」なんて言うようになる。
それが、異世界とのつながりを失くしていることにようやく気がついた自分は、
異世界での仕事をすべてやり遂げ、
大好きな恋人に「愛してる」と一言告げながら、
世界から消える。
そして、泣きながら目を覚ます。
ああこれは夢なんだな、と思っても涙が止まらない。
掻い摘んだ説明では何もわからないけど、
その中にはたくさんいろいろあって、
とにかくとにかく、あの人を愛していたのだ。
いつも憎まれ口をたたくのに、
最後に会ったあの時だけは、
何も言わずに抱きしめてくれた。
あれだけ好きだったのに、
どうして別れなければならないのだろう。
自分がこの世界の人間ではないから?
この手の話は、私は嫌いだ。
読んだあと、どうしようもなく胸が苦しくなる。
話的にはキリのいい話だ。
感動も誘う。
でも、ハッピーエンドとは言えないと思う。
登場した人たちはみんな大人だから文句を言わないけど、
子供な私は「どうして?」という言葉しか出てこない。
だって、そうでしょう?
愛する人と一緒にいられなくて、
どうして幸せと言える?
永遠の別れじゃない、
あの人は生きているって?
会えなきゃ意味がないじゃないか。
ずっと一緒にいられなきゃ意味がないじゃないか。
わがままでもいいから、
一緒にいたいからって、
それは許されないことなの?
だったらどうして異世界なんかに飛ばしたんだよ。
出会わなければ、
愛さなければ、
こんな苦しむことはなかったのに……。
愛する者を失ったら、
どうやって生きていけばいいの?
死にネタのほうがまだ納得できるよ。
ああ、ようやく涙がおさまってきた。
目がちょっと腫れた。
痛い。痒い。鼻が真っ赤っかだ。
変な顔。
可愛くない顔。
ああ、苦しいなぁ。